2025-06-16
近年、空き家を所有する方が増える中、「いざ売却したい」と考えても、どのような費用や税金が発生するのか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。税金や手数料は、売却後の手取り額に大きく影響します。そのため、空き家売却を検討する際は、事前に発生する費用や税負担を正しく理解しておくことが大切です。この記事では、空き家売却時に必要となる費用や税金の全体像から、賢く税負担を軽減する方法まで、分かりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

空き家を売却する際には、さまざまな費用や税金が発生します。これらを事前に把握しておくことで、スムーズな売却手続きを進めることができます。以下に、主な費用と税金について詳しく説明します。
まず、売却時に必要となる費用として、仲介手数料と解体費用があります。
仲介手数料
不動産会社を通じて空き家を売却する場合、成功報酬として仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限は、売却価格に応じて以下のように定められています。
| 売却価格 | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 売却価格の5% |
| 200万円超~400万円以下 | 売却価格の4%+2万円 |
| 400万円超 | 売却価格の3%+6万円 |
例えば、1,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限は36万円となります。なお、2024年7月からは、取引価格が800万円以下の場合、上限を超えて最大30万円+消費税が請求できる特例が設けられています。
解体費用
空き家を更地にして売却する場合、解体費用が必要となります。木造建築の場合、1坪あたり3万~5万円程度が相場です。例えば、30坪の建物を解体する場合、90万~150万円程度の費用がかかると考えられます。解体費用は建物の構造や立地条件、老朽化の度合いによって異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。
次に、売却時に課される主な税金について説明します。
譲渡所得税
空き家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得は以下の式で計算されます。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費は購入時の費用や購入手数料などを指し、譲渡費用は売却時にかかった費用(仲介手数料、印紙税、測量費など)を指します。譲渡所得税の税率は、所有期間によって異なります。
| 所有期間 | 所得税(復興特別所得税含む) | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
例えば、8年間所有していた空き家を1,000万円で売却し、取得費が200万円、譲渡費用が100万円の場合、譲渡所得は700万円となり、税率20.315%を適用すると、約142万円の譲渡所得税が発生します。
印紙税
不動産売買契約書を作成する際には、契約金額に応じた印紙税が課されます。2027年3月31日までに作成された契約書には軽減措置が適用され、以下の税額となります。
| 契約金額 | 印紙税額(軽減措置適用後) |
|---|---|
| 10万円超~50万円以下 | 200円 |
| 50万円超~100万円以下 | 500円 |
| 100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超~5,000万円以下 | 10,000円 |
登録免許税
売却に伴い、所有権移転登記を行う際には登録免許税がかかります。税額は「固定資産税評価額×税率」で計算され、税率は以下の通りです。
| 不動産の種類 | 税率 |
|---|---|
| 土地(売買) | 1.5%(2026年3月31日までの軽減税率) |
| 建物(売買) | 2% |
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を売却する場合、登録免許税は15万円となります。
以上のように、空き家を売却する際にはさまざまな費用や税金が発生します。事前にこれらを把握し、計画的に売却を進めることが重要です。
空き家を売却する際、税負担を軽減できる特例制度がいくつか存在します。これらの制度を適切に活用することで、譲渡所得税の負担を大幅に減少させることが可能です。以下に、主な特例制度とその適用条件について詳しく説明します。
相続した空き家を売却する際、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。この特例を適用するための主な条件は以下の通りです。
手続きとしては、確定申告時に以下の書類を提出する必要があります。
相続した空き家を売却する際の3,000万円特別控除を適用するための要件は、前述の条件と重複する部分が多いですが、特に以下の点に注意が必要です。
この特例を活用することで、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できます。例えば、売却益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税が発生しないケースもあります。
相続した不動産を売却する際、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」があります。この特例の主な条件は以下の通りです。
ただし、この特例と前述の3,000万円特別控除は併用できません。どちらが有利かは、相続税の額や売却益などの状況によって異なります。以下に、両者の比較を表にまとめました。
| 特例名 | 控除額 | 主な適用条件 |
|---|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 最大3,000万円 | 被相続人が一人で居住、昭和56年5月31日以前の建築、耐震基準適合など |
| 取得費加算の特例 | 相続税の一部を取得費に加算 | 相続税の申告期限から3年以内の売却、相続税の納付 |
どちらの特例を適用するかは、具体的な状況を考慮し、専門家に相談することをおすすめします。
空き家を売却する際、事前の準備や注意点を押さえておくことで、スムーズな取引と税負担の軽減が可能となります。以下に、売却前に検討すべき主なポイントを解説します。
空き家の状態によっては、リフォームや解体を検討することがあります。しかし、これらの判断は慎重に行う必要があります。
リフォームや解体を行う前に、不動産会社と相談し、地域の市場動向や物件の状態を踏まえた最適な方法を検討することが重要です。
空き家の売却を成功させるためには、以下の準備と心構えが必要です。
これらの準備を行うことで、売却活動をスムーズに進めることができます。
空き家を売却した後、税務申告や各種手続きを適切に行うことが求められます。
税務申告や手続きに関して不明な点がある場合、税理士や専門家に相談することをおすすめします。
以下に、空き家売却前に検討すべき主なポイントを表にまとめました。
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| リフォームの必要性 | 建物の老朽化度合いに応じて検討 | 過度なリフォームは費用対効果が低下 |
| 解体の判断 | 安全性や市場需要を考慮して決定 | 解体後の固定資産税増加に注意 |
| 登記名義人の確認 | 登記簿謄本で所有者を確認 | 相続登記未了の場合、手続きが遅延 |
| 抵当権の抹消 | ローン完済後も抹消手続きを実施 | 抹消手続き未了では売却不可 |
| 適正価格の設定 | 市場調査を基に価格を決定 | 高すぎる価格設定は売却期間の長期化を招く |
| 税務申告 | 譲渡所得税の申告を適切に行う | 特例適用には確定申告が必須 |
| 解体費用の控除 | 売却のための解体費用は控除可能 | 解体と売却の時期が離れすぎると控除不可 |
これらのポイントを事前に検討し、適切な準備と手続きを行うことで、空き家の売却を円滑に進めることができます。
1. 市場調査と適正価格の設定方法
まず、売却を検討している空き家の市場価値を把握することが重要です。近隣の類似物件の売却価格や市場動向を調査し、適正な売り出し価格を設定しましょう。不動産会社に査定を依頼する際は、複数の会社から見積もりを取ることで、より正確な価格を把握できます。査定額はあくまで参考値であり、実際の売却価格は市場の需要や交渉によって変動することを念頭に置いてください。2. 売却活動の進め方と効果的な広告戦略
適正価格を設定した後は、効果的な売却活動が求められます。不動産会社と媒介契約を結び、物件の魅力を最大限に伝える広告戦略を立てましょう。高品質な写真や詳細な物件情報を用意し、オンラインやチラシなど多様な媒体で宣伝を行います。内覧希望者が現れた際は、物件を清潔に保ち、良好な印象を与える準備を整えておくことが大切です。3. 売買契約から引き渡しまでの手続きとスケジュール管理
購入希望者が見つかり、条件が合意に至ったら、売買契約を締結します。契約時には、重要事項説明を受け、契約内容を十分に理解した上で署名・捺印を行います。手付金の受領後、引き渡しまでのスケジュールを管理し、必要な手続きを進めます。物件の清掃や不用品の処分、登記手続きなどを計画的に行い、スムーズな引き渡しを目指しましょう。 以下に、空き家売却の主なステップとその概要を表にまとめました。| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 市場調査と価格設定 | 近隣物件の価格調査と適正価格の設定 | 複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討する |
| 売却活動と広告戦略 | 物件情報の整備と多様な広告媒体での宣伝 | 高品質な写真と詳細な情報で物件の魅力を伝える |
| 契約締結と引き渡し | 売買契約の締結と引き渡しまでの手続き | 契約内容を十分に理解し、スケジュールを管理する |
空き家の売却を検討する際には、仲介手数料や解体費用、譲渡所得税など、さまざまな費用と税金が関わります。正しい知識を持つことで税負担を軽減できる特例制度も活用可能です。売却前の準備や判断基準、税務申告などの重要なポイントについてもしっかり押さえておくことが、円滑な売却と安心につながります。複雑に感じる手続きも一つずつ確認すれば、どなたでも不安を減らし、納得のいく売却を実現できます。
部署:株式会社go-to不動産 本店
資格:宅地建物取引士
魚介が美味しく、支援も充実しており住みやすさが魅力な明石が好きです。
魚介が食べたくなったら魚の棚に行き新鮮な魚やタコ、貝を選ぶのが楽しいです!
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