空き家の売却を考えたとき税金はどうなる?費用や控除のポイントも解説

近年、空き家を所有する方が増える中、「いざ売却したい」と考えても、どのような費用や税金が発生するのか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。税金や手数料は、売却後の手取り額に大きく影響します。そのため、空き家売却を検討する際は、事前に発生する費用や税負担を正しく理解しておくことが大切です。この記事では、空き家売却時に必要となる費用や税金の全体像から、賢く税負担を軽減する方法まで、分かりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。


空き家を売却する際に発生する主な費用と税金

空き家を売却する際には、さまざまな費用や税金が発生します。これらを事前に把握しておくことで、スムーズな売却手続きを進めることができます。以下に、主な費用と税金について詳しく説明します。

まず、売却時に必要となる費用として、仲介手数料と解体費用があります。

仲介手数料

不動産会社を通じて空き家を売却する場合、成功報酬として仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限は、売却価格に応じて以下のように定められています。

売却価格 仲介手数料の上限
200万円以下 売却価格の5%
200万円超~400万円以下 売却価格の4%+2万円
400万円超 売却価格の3%+6万円

例えば、1,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限は36万円となります。なお、2024年7月からは、取引価格が800万円以下の場合、上限を超えて最大30万円+消費税が請求できる特例が設けられています。

解体費用

空き家を更地にして売却する場合、解体費用が必要となります。木造建築の場合、1坪あたり3万~5万円程度が相場です。例えば、30坪の建物を解体する場合、90万~150万円程度の費用がかかると考えられます。解体費用は建物の構造や立地条件、老朽化の度合いによって異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

次に、売却時に課される主な税金について説明します。

譲渡所得税

空き家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得は以下の式で計算されます。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

取得費は購入時の費用や購入手数料などを指し、譲渡費用は売却時にかかった費用(仲介手数料、印紙税、測量費など)を指します。譲渡所得税の税率は、所有期間によって異なります。

所有期間 所得税(復興特別所得税含む) 住民税 合計
5年以下(短期譲渡所得) 30.63% 9% 39.63%
5年超(長期譲渡所得) 15.315% 5% 20.315%

例えば、8年間所有していた空き家を1,000万円で売却し、取得費が200万円、譲渡費用が100万円の場合、譲渡所得は700万円となり、税率20.315%を適用すると、約142万円の譲渡所得税が発生します。

印紙税

不動産売買契約書を作成する際には、契約金額に応じた印紙税が課されます。2027年3月31日までに作成された契約書には軽減措置が適用され、以下の税額となります。

契約金額 印紙税額(軽減措置適用後)
10万円超~50万円以下 200円
50万円超~100万円以下 500円
100万円超~500万円以下 1,000円
500万円超~1,000万円以下 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 10,000円

登録免許税

売却に伴い、所有権移転登記を行う際には登録免許税がかかります。税額は「固定資産税評価額×税率」で計算され、税率は以下の通りです。

不動産の種類 税率
土地(売買) 1.5%(2026年3月31日までの軽減税率)
建物(売買) 2%

例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を売却する場合、登録免許税は15万円となります。

以上のように、空き家を売却する際にはさまざまな費用や税金が発生します。事前にこれらを把握し、計画的に売却を進めることが重要です。

空き家売却時の税負担を軽減するための特例制度

空き家を売却する際、税負担を軽減できる特例制度がいくつか存在します。これらの制度を適切に活用することで、譲渡所得税の負担を大幅に減少させることが可能です。以下に、主な特例制度とその適用条件について詳しく説明します。

3,000万円特別控除の適用条件と手続き方法

相続した空き家を売却する際、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。この特例を適用するための主な条件は以下の通りです。

  • 被相続人が一人で居住していた住宅であること:相続開始直前まで被相続人が単独で居住していた住宅が対象となります。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された戸建て住宅であること:旧耐震基準で建築された住宅が該当します。
  • 相続から売却までの間、事業用や賃貸用、居住用として使用されていないこと:相続後、他の用途で使用されていないことが求められます。
  • 耐震基準を満たすか、取り壊して更地として売却すること:現行の耐震基準に適合するよう改修するか、建物を取り壊して土地として売却する必要があります。
  • 売却価格が1億円以下であること:売却価格が1億円を超える場合は適用対象外となります。

手続きとしては、確定申告時に以下の書類を提出する必要があります。

  • 被相続人が一人で居住していたことを証明する書類(住民票の除票など)
  • 建築年月日を確認できる書類(登記事項証明書など)
  • 耐震基準適合証明書または建物取り壊し証明書
  • 売買契約書の写し

相続空き家の3,000万円特別控除の要件と活用方法

相続した空き家を売却する際の3,000万円特別控除を適用するための要件は、前述の条件と重複する部分が多いですが、特に以下の点に注意が必要です。

  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること:この期間内に売却しないと特例の適用を受けられません。
  • 区分所有建物でないこと:マンションなどの区分所有建物は対象外となります。

この特例を活用することで、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できます。例えば、売却益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税が発生しないケースもあります。

取得費加算の特例の概要と適用条件

相続した不動産を売却する際、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」があります。この特例の主な条件は以下の通りです。

  • 相続税の申告期限から3年以内に売却すること:この期間内に売却しないと特例の適用を受けられません。
  • 相続税を納付していること:相続税を納付していない場合は適用対象外となります。

ただし、この特例と前述の3,000万円特別控除は併用できません。どちらが有利かは、相続税の額や売却益などの状況によって異なります。以下に、両者の比較を表にまとめました。

特例名 控除額 主な適用条件
3,000万円特別控除 最大3,000万円 被相続人が一人で居住、昭和56年5月31日以前の建築、耐震基準適合など
取得費加算の特例 相続税の一部を取得費に加算 相続税の申告期限から3年以内の売却、相続税の納付

どちらの特例を適用するかは、具体的な状況を考慮し、専門家に相談することをおすすめします。

空き家売却前に検討すべきポイントと注意点

空き家を売却する際、事前の準備や注意点を押さえておくことで、スムーズな取引と税負担の軽減が可能となります。以下に、売却前に検討すべき主なポイントを解説します。

売却前のリフォームや解体の必要性とその判断基準

空き家の状態によっては、リフォームや解体を検討することがあります。しかし、これらの判断は慎重に行う必要があります。

  • リフォームの判断基準:建物の老朽化が進んでいる場合、リフォームによって物件の価値を向上させることができます。ただし、過度なリフォームは費用対効果が低くなる可能性があるため、必要最低限の修繕に留めることが望ましいです。
  • 解体の判断基準:建物が著しく劣化しており、安全性に問題がある場合や、更地としての需要が高い地域では、解体を検討する価値があります。ただし、解体後は固定資産税の軽減措置が適用されなくなるため、税負担が増加する点に注意が必要です。

リフォームや解体を行う前に、不動産会社と相談し、地域の市場動向や物件の状態を踏まえた最適な方法を検討することが重要です。

売却活動をスムーズに進めるための準備と心構え

空き家の売却を成功させるためには、以下の準備と心構えが必要です。

  • 登記名義人の確認:売却前に登記簿謄本を取得し、所有者が正確に記載されているか確認します。相続登記が未了の場合、売却手続きが遅延する可能性があります。
  • 抵当権の抹消手続き:住宅ローンを完済していても、抵当権が残っている場合があります。売却前に抹消手続きを行い、所有権の移転を円滑に進める準備を整えましょう。
  • 適正価格の設定:市場調査を行い、地域の相場を把握した上で、適正な売却価格を設定します。高すぎる価格設定は売却期間の長期化を招く可能性があります。

これらの準備を行うことで、売却活動をスムーズに進めることができます。

売却後の税務申告や手続きに関する注意点

空き家を売却した後、税務申告や各種手続きを適切に行うことが求められます。

  • 譲渡所得税の申告:売却によって利益が生じた場合、譲渡所得税の申告が必要です。特例措置を適用する場合も、確定申告を行う必要があります。
  • 特例制度の活用:一定の条件を満たす場合、3,000万円の特別控除などの特例が適用されます。適用条件や必要書類を事前に確認し、申告期限内に手続きを行いましょう。
  • 解体費用の取り扱い:売却のために行った解体費用は、譲渡費用として控除可能です。ただし、解体と売却の時期が離れすぎている場合、控除が認められないことがあります。

税務申告や手続きに関して不明な点がある場合、税理士や専門家に相談することをおすすめします。

以下に、空き家売却前に検討すべき主なポイントを表にまとめました。

項目 内容 注意点
リフォームの必要性 建物の老朽化度合いに応じて検討 過度なリフォームは費用対効果が低下
解体の判断 安全性や市場需要を考慮して決定 解体後の固定資産税増加に注意
登記名義人の確認 登記簿謄本で所有者を確認 相続登記未了の場合、手続きが遅延
抵当権の抹消 ローン完済後も抹消手続きを実施 抹消手続き未了では売却不可
適正価格の設定 市場調査を基に価格を決定 高すぎる価格設定は売却期間の長期化を招く
税務申告 譲渡所得税の申告を適切に行う 特例適用には確定申告が必須
解体費用の控除 売却のための解体費用は控除可能 解体と売却の時期が離れすぎると控除不可

これらのポイントを事前に検討し、適切な準備と手続きを行うことで、空き家の売却を円滑に進めることができます。

空き家売却を成功させるためのステップと流れ

空き家の売却を成功させるためには、計画的な手順と適切な対応が求められます。以下に、売却までの主要なステップとその流れを詳しく解説します。

1. 市場調査と適正価格の設定方法

まず、売却を検討している空き家の市場価値を把握することが重要です。近隣の類似物件の売却価格や市場動向を調査し、適正な売り出し価格を設定しましょう。不動産会社に査定を依頼する際は、複数の会社から見積もりを取ることで、より正確な価格を把握できます。査定額はあくまで参考値であり、実際の売却価格は市場の需要や交渉によって変動することを念頭に置いてください。

2. 売却活動の進め方と効果的な広告戦略

適正価格を設定した後は、効果的な売却活動が求められます。不動産会社と媒介契約を結び、物件の魅力を最大限に伝える広告戦略を立てましょう。高品質な写真や詳細な物件情報を用意し、オンラインやチラシなど多様な媒体で宣伝を行います。内覧希望者が現れた際は、物件を清潔に保ち、良好な印象を与える準備を整えておくことが大切です。

3. 売買契約から引き渡しまでの手続きとスケジュール管理

購入希望者が見つかり、条件が合意に至ったら、売買契約を締結します。契約時には、重要事項説明を受け、契約内容を十分に理解した上で署名・捺印を行います。手付金の受領後、引き渡しまでのスケジュールを管理し、必要な手続きを進めます。物件の清掃や不用品の処分、登記手続きなどを計画的に行い、スムーズな引き渡しを目指しましょう。 以下に、空き家売却の主なステップとその概要を表にまとめました。
ステップ 内容 ポイント
市場調査と価格設定 近隣物件の価格調査と適正価格の設定 複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討する
売却活動と広告戦略 物件情報の整備と多様な広告媒体での宣伝 高品質な写真と詳細な情報で物件の魅力を伝える
契約締結と引き渡し 売買契約の締結と引き渡しまでの手続き 契約内容を十分に理解し、スケジュールを管理する
これらのステップを丁寧に進めることで、空き家の売却を成功に導くことができます。各段階で専門家のアドバイスを受けながら、計画的に進めていきましょう。

まとめ

空き家の売却を検討する際には、仲介手数料や解体費用、譲渡所得税など、さまざまな費用と税金が関わります。正しい知識を持つことで税負担を軽減できる特例制度も活用可能です。売却前の準備や判断基準、税務申告などの重要なポイントについてもしっかり押さえておくことが、円滑な売却と安心につながります。複雑に感じる手続きも一つずつ確認すれば、どなたでも不安を減らし、納得のいく売却を実現できます。

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後藤正浩

部署:株式会社go-to不動産 本店

資格:宅地建物取引士 

魚介が美味しく、支援も充実しており住みやすさが魅力な明石が好きです。
魚介が食べたくなったら魚の棚に行き新鮮な魚やタコ、貝を選ぶのが楽しいです!

後藤正浩が書いた記事

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