再建築不可の土地を相続する際の注意点は?リスクや対策も解説

相続した土地が「再建築不可」と聞いて、不安になったことはありませんか?再建築不可の土地は、将来的な資産価値や管理負担に大きく影響を及ぼす可能性があります。しかし、何に気をつけて相続を進めれば良いのか、具体的に知っている方は多くありません。この記事では、再建築不可の土地を相続する場合の注意点からリスク対策、そして将来的な活用方法まで、順を追ってわかりやすく解説します。安心して相続を進めるためのヒントが満載ですので、ぜひ最後まで読み進めてください。

再建築不可の土地を相続する前に確認すべき基本事項

まず「再建築不可」とは、建築基準法の接道義務(一般に幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たさないため、建て替えなどの建築申請が認められない土地のことです。この状態では現存する建物を取り壊すと、再び建築できなくなる点にご注意ください。

次に、相続予定の土地が再建築不可かどうかを確認するためには、市町村役場の建築関係部署や法務局で以下のような書類を取得して調査するのが確実です:

書類名用途
登記事項証明書土地の所在・所有者・地目などを確認
公図・地積測量図土地の形状や境界、接道状況を把握
建物図面敷地上の建物構造や配置の理解に役立つ

これらの書類を持参することで、再建築不可かどうかの判断がスムーズになります。

さらに、相続前に対象土地の性質を把握することは極めて重要です。その理由は、将来の活用計画が立てられないまま相続してしまうと、固定資産税負担や管理責任など不利益が連鎖的に発生する恐れがあるからです。未然に問題を把握し、納得した形で相続を迎えることが、安心の第一歩となります。

再建築不可の土地を相続した際に発生するリスクと税負担

再建築不可の土地を相続した場合、建物を解体して更地化すると、建物付きの住宅用地としての固定資産税優遇が外れてしまい、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。たとえば、住宅用地で土地評価額が1,000万円の場合、更地にする前は「1,000万円×1/6×1.4%=約23,240円」ですが、解体後は「1,000万円×1.4%=14万円」と、税額が大幅に上昇します。

さらに、老朽化した建物が倒壊するなどして近隣住民や通行人に被害を与えた場合、損害賠償責任を負うリスクもあります。特に民法に基づく土地工作物責任により、数千万円から億単位の賠償を請求されるケースもあるため、放置は非常に危険です。

相続時には、以下のような税負担も発生します:

税目内容備考
相続税相続財産の評価額に応じて10〜55%の累進課税評価額が低いため税負担が小さくなる傾向あり
登録免許税固定資産税評価額 × 0.4%相続登記の手続きに必要
固定資産税・都市計画税評価額×1.4%、+都市計画税0.3%居住用建物があると軽減されるが、更地になると増加

これらを踏まえると、再建築不可の土地を相続した際は、建物の倒壊や解体、更地化、税金の急増や損害賠償など、多様なリスクと負担が同時に発生する可能性があります。相続前に現状をしっかり把握し、専門家に相談することを強くおすすめします。

相続後の対応選択肢と注意点

再建築不可の土地を相続した後には、法的選択肢や税・登記の手続き、専門家への相談が鍵となります。ここでは、冷静かつ適切に対応するためのポイントを整理してご紹介します。

選択肢 ポイント 注意点
相続放棄 相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述 ほかの財産もすべて放棄。管理責任が残る場合もある
代償分割・換価分割 代償分割:一人が現物取得し他に代償金を支払う。換価分割:売却し分割金を得る 代償分割は資金力必要。換価分割は売却困難な可能性と相続税10ヶ月以内納付の制約あり
専門家相談 税理士や司法書士、弁護士などの助言で安心感 相談先により得意分野が異なる点を事前確認

まず、相続放棄という選択肢があります。再建築不可の土地を相続したくない場合、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述を行う必要があります。ただし、この方法では再建築不可の土地だけでなく、すべての相続財産を放棄することになり、現預金など他に相続したい財産があっても放棄対象となる点に注意が必要です。また、相続放棄をしても、手続き完了まで土地の管理義務が残るケースもあるため、専門家への相談をおすすめします。

次に、代償分割や換価分割といった分割方法も検討できます。代償分割では、対象物件を一人が取得し、他の相続人に代償金を支払います。一方、換価分割では不動産を売却し、その売却代金を分割します。ただし、再建築不可の土地は売却自体が難しいことが多く、売却代金で相続税を納税する場合、相続税の納付期限(相続開始を知った日から10ヶ月以内)に間に合わない可能性もあります。迅速な対応のためには、買取専門業者への相談も視野に入れると良いでしょう。

さらに、相続登記や税金の納付、登録免許税の対応にも注意が必要です。2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日、または遺産分割協議成立日から3年以内に申請しなければなりません。期限を過ぎると10万円以下の過料が科されることがあります。登録免許税については明確な期限はありませんが、固定資産評価証明書が発行された年度内に納付するのが実質的な目安です。

最後に、専門家の力を借りる姿勢も大切です。相続税の申告、代償金の算定、登記手続きなど、それぞれ税理士や司法書士、弁護士が専門領域を持っています。適切な選択と安心を得るために、早めに相談することを強くおすすめします。同じ「相談」でも、扱う分野が異なるため、得意分野を事前に確認して依頼しましょう。

再建築不可の土地を将来的に活用するための選択肢

再建築不可の土地を活用するには、法律や制度をうまく組み合わせた戦略が鍵となります。ここでは、将来にわたって可能性を広げるための選択肢を、リズム良く解説します。

選択肢 概要 ポイント
隣地との協議・位置指定道路の申請 隣地を購入・借用したり、自宅敷地を私道として位置指定道路にする 接道義務をクリアし再建築可能に。許可や共有者の合意が必要です
現状の建物を維持活用 リフォームや賃貸、倉庫などに活用 コストと収益性をしっかり計算し、清潔なメンテナンスを心がけます
自治体制度や寄付・空き家バンク活用 空き家バンク登録や自治体へ寄付など公的制度を利用 地域貢献にもつながり、補助や税制優遇を得られる可能性があります

まず、隣地との協議や位置指定道路の申請により、接道義務の不足を補って再建築を可能にする方法があります。不足する分の土地を借りたり購入したり、あるいは私道を「位置指定道路」として行政に認定してもらうことで、再建築の可否が大きく変わります。行政手続きや所有者間の合意は不可欠ですが、有効な選択肢です。このような方法はプロの相談を強くおすすめします。

次に、更地化せずに現状の建物を活用する方法です。リフォームやリノベーションを施して賃貸住宅、ゲストハウス、倉庫などに使うことが可能です。築年数に応じた耐久性チェックや費用対効果の検討が重要ですが、地域特性を活かした収益化の可能性も高まります。

さらに、空き家バンクの制度利用や、自治体・企業への寄付も注目すべき方法です。地方自治体が運営する「空き家バンク」では、移住支援や補助金とセットで活用できることがあり、地域活性化にもつながります。また、自治体や企業への寄付により、維持管理の負担から解放され、場合によっては税制優遇の恩恵も得られます。

これらの道を選ぶ際、それぞれに異なる手続きや準備があります。隣地との協議であれば測量・登記や専門家への依頼が必要ですし、空き家バンク利用には自治体との調整が必要です。どの方法も専門家への相談を基本とし、慎重に進めることが成功の秘訣です。

まとめ

再建築不可の土地を相続する際は、まず「再建築不可」の定義や確認方法を理解し、土地の特性を整理することが大切です。その上で、相続後に生じるリスクや税負担を事前に把握し、適切な対応策や活用方法を検討することで、将来的なトラブルや後悔を避けることができます。専門家の知識やサポートを活用しながら、自分に合った判断をしていきましょう。

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後藤正浩

部署:株式会社go-to不動産 本店

資格:宅地建物取引士 

魚介が美味しく、支援も充実しており住みやすさが魅力な明石が好きです。
魚介が食べたくなったら魚の棚に行き新鮮な魚やタコ、貝を選ぶのが楽しいです!

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