不動産売却でリフォーム費用の税金はどうなる?計算方法と注意点を紹介

不動産の売却を検討されている方の中には、「リフォームを行った場合、税金はどうなるのだろう」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。リフォーム費用がどのように税務上扱われるのかを正しく知ることで、売却時の手取り額や税負担を大きく変えることができます。本記事では、不動産売却に関するリフォーム費用と税金の関係について、実際に役立つ知識と注意点を分かりやすく解説いたします。どなたでも理解できる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。


リフォームの目的別に整理する税務上の取り扱い

リフォーム費用が不動産売却時に「取得費」に含まれるのか、それとも「譲渡費用」として扱われるのか、判断の鍵はリフォームの目的にあります。売却そのものを目的とした工事は「譲渡費用」に該当し、資産価値を向上させるためのリフォームは「取得費」に含められます。

売却を早めるために行った内装の改修や外壁の塗装などは、譲渡費用に計上できます。これらは不動産を売るために直接かかった費用として、譲渡所得から差し引けます。

一方、耐震補強やシステムキッチンの導入、二重サッシへの交換など、所有中に行い資産価値を高めるリフォームは「設備費」や「改良費」として取得費に組み込まれます。その結果、譲渡所得の計算上、取得費が増えて税金を節約できます。

リフォームの目的によって、譲渡所得や税負担への影響は変わります。譲渡費用として認められると売却時の所得が小さくなり、取得費に含めるとそもそもの「取得費」が大きくなるため、いずれも税金の軽減に効果的です。

国税庁の定める基本的な分類ルールに基づく判断が重要です。譲渡目的で支出した費用は譲渡費用へ、価値向上目的での費用は取得費に分類されるため、確実に区分して記録することが求められます。

以下は目的別のリフォーム費用の分類を整理した表です。

リフォーム目的 費用の分類 税務上の影響
売却直前の改修(壁紙・外装など) 譲渡費用 譲渡所得を減らし税負担を軽減
設備の付加・資産価値向上(耐震・システムキッチンなど) 取得費 取得費が増え譲渡所得が減少
維持・修繕(修理・現状回復など) 対象外(経費不算入) 経費として認められず税負担に影響する

このように整理することで、リフォーム費用がどちらに該当するかが明確になり、売却時の税務処理に自信が持てます。

取得費に含められるリフォーム費用とは

リフォーム費用は、売却時の税金負担を軽減するために「取得費」として計上できることがあります。ただし、すべての工事が取得費になるわけではなく、あくまで「資産価値を向上させた工事」に限られます。

まず、設備費や改良費にあたる工事は取得費に含められます。例えばシステムキッチンの導入、二重サッシの設置、耐震補強などは、資産価値を高める工事として認められます。

一方、日常的な維持や修理に該当するもの、いわゆる「修繕費」は取得費に含まれません。例えば、フローリングの補修や扉の修理といった工事は、資産価値を高める目的ではないため、取得費には含められないとされます。

また、リフォーム費用を取得費に含める際には、減価償却の考え方が重要です。取得時に支払ったリフォーム費用は、売却時までの減価償却累計分を差し引いた金額が取得費となります。たとえば鉄筋コンクリート造のマンションに500万円のリフォームをして10年後に売却する場合、以下の通り計算します:

項目内容
リフォーム費用500万円
減価償却(例)500万円 × 0.9 × 償却率(0.015) × 経過年数(10年)=約67万5千円
取得費として計上500万円 − 67万5千円 = 約432万5千円

このように、リフォーム費用は単に追加すればよいものではなく、構造や経過年数に応じた減価償却処理が必要です。

最後に、取得費としてリフォーム費用を計上する際は、契約書や領収書などの証明書類をきちんと保存しておくことが欠かせません。税務署から証明を求められた際に備えて、工事内容や金額が明確にわかる書類は、安心できる根拠になります。

譲渡費用として認められるリフォームとは

売却を目的として行ったリフォームは、譲渡費用として税務上認められます。譲渡費用とは、不動産を売るために直接かかった費用を指し、たとえば内装の修復や外壁の塗装といった売却を有利に進める工事も含まれます。 重要なのは「売却目的であること」を明確にすることです。単なる居住改善ではなく、売却時に反響を得るために行ったリフォームであれば、譲渡費用として計上できます。

譲渡費用として計上できる代表的な具体例を以下に整理しました。

リフォーム内容譲渡費用として認められる条件備考
内装のリフレッシュ工事(壁紙貼替等)売却前に行い、売却目的であること見積書や工事契約書の保存が重要
外壁の塗装・補修売却を促進する目的があること工事内容の記録も準備すると安心
動線改善や設備交換(例:ドアの交換など)購入希望者に印象付ける目的が明らかなこと時期や目的の説明が書類に必要

譲渡費用に含めるためには、工事が売却に直接関連していることを証明できる書類が不可欠です。具体的には、工事の見積書や契約書、施工前後の写真などを準備しておくと税務署への説明がスムーズになります。 売却直前で、早期成約を目的としたリフォームほど、譲渡費用としての計上が認められやすいため、タイミングや目的をしっかり整理しておくことが大切です。

減価償却と税制特例を活用した節税対策

リフォームを通じて不動産売却を検討されている方にとって、「減価償却」と「税制特例」はとても頼れるパートナーです。ここでは、誰にでもわかりやすく、かつリズミカルにご紹介します。

まず、減価償却とは、建物の購入価額を耐用年数に応じて費用に振り分けていく計算方法です。リフォーム費用も、取得費として建物価値に含める場合は、この減価償却によって取得費を増やし、譲渡所得を抑える効果があります。たとえば、減価償却をきちんと行うことで、取得費が増えて売却益が小さくなるため、税負担が軽くなる仕組みです。ただし、減価償却率や耐用年数は建物の構造や築年数により異なるため、専門家と相談しながら正確に計算することが肝心です。

次に、売却時にぜひ押さえておきたいのが「三千万円特別控除」と「所有期間十年超の軽減税率特例」です。この三千万円特別控除とは、居住用不動産を売却する際、一定の要件を満たすと、譲渡所得から三千万円をまるごと差し引くことができる制度です。たとえば、売却益が三千万円以下なら税金はゼロになるケースもあります。要件は、住まなくなってから三年内の売却、解体後の場合は更地の売却契約が一年前後以内に行われていることなどです。

さらに、所有期間が十年を超える場合は、譲渡所得に軽減税率(約十四パーセント)が適用され、通常よりもさらに税負担を抑えることができます。こちらは三千万円特別控除と併用できますので、節税効果が高まります。ただし、住宅ローン控除や買い替え特例、譲渡損失の損益通算など、他の制度とは併用できない場合もあるので、状況に応じた選択が必要です。

最後に、自治体によっては、省エネリフォームや耐震改修、バリアフリー工事などに対して固定資産税の減免や補助金が出る場合があります(ただし、対象期間や内容に制限があります)。こういった制度も活用しながら、減価償却・特例と併せて、リフォームと不動産売却の両方に役立つ総合的な税務配慮を心がけましょう。

以下は、ポイントを表に整理したものです。参考にご覧ください。

対策項目内容節税効果
減価償却建物の取得費にリフォーム費用を含め減価償却計算取得費を増やし、譲渡所得を抑える
三千万円特別控除居住用不動産売却で一定要件を満たせば譲渡所得から三千万円控除譲渡所得が低ければ税額ゼロも可能
十年超所有軽減税率所有期間が十年超で譲渡時に軽減税率(約十四%)適用購入後長期保有でさらに節税
自治体補助・固定資産税軽減省エネ・耐震・バリアフリー工事で対象の場合ありリフォーム費用の負担軽減や税額減少

それぞれの制度には細かな要件や適用条件がありますので、リフォームの計画段階から専門の税理士や税務署、市区町村の窓口にご相談することをおすすめします。そうすることで、無理なくしっかり節税でき、安心して不動産売却まで進められます。

まとめ

不動産の売却を見据えたリフォームは、税金の負担や節税の仕組みに深く関わります。リフォーム費用が取得費として認められるか、譲渡費用に計上できるかによって、最終的な譲渡所得や納税額が大きく異なります。事前にリフォームの目的と内容を整理し、必要な証拠書類を揃えておくことが重要です。減価償却や税制上の特例も活用し、制度を正しく理解することで、納得のいく売却と無理のない節税を実現できます。少しでも疑問があれば、専門家に相談して、安心して進めましょう。

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後藤正浩

部署:株式会社go-to不動産 本店

資格:宅地建物取引士 

魚介が美味しく、支援も充実しており住みやすさが魅力な明石が好きです。
魚介が食べたくなったら魚の棚に行き新鮮な魚やタコ、貝を選ぶのが楽しいです!

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